さよならにうってつけの日歌詞
添加日期:2024-02-11 時長:04分49秒 歌手:やみくろ
あの日、僕は言えなかった
あなたは確かに其処に居たのに。
きっとちゃんと伝えるなら
あの瞬間しかなかったのにな。
八畳一間に生まれ落ちた
感情の墓場みたいな音楽が、
巡り巡って誰かを救ってさ
これ以上なんかもう無いのにさ。
〈乾いた空に音が澄み渡る
鼓膜が揺れる、喉が震える〉
そんな光景を思い浮かべた日の事、
まだ覚えてるかな?
あの日 それは現実になった。
生きる事すら精一杯な
僕にはそれが奇跡だったの、
あなたはずっとうたってきたの。
花は咲き誇り光が包む
桃色の祝福があなたを照らす。
僕は
うまく大人になれないまま
音楽は未だ辭められないまま
何一つ成し遂げないまま
生活は忙しなくなる。
そしてあなたが舞台に立つ
『今こそが區切りだ』と思ったの
僕がいなくてもあなたはもう歌えるから
あの日は
さよならにうってつけの日だった。
〈あなたは愛されて 今、其処に立ってる。
あなたに逢いたい人がいる限り
あなたは消えない 僕らの歌も消えない。
僕だけが終わる日が來ても〉
そんな歌をつくった事を思い出すよ。
痛みや意地や愛情の全てが混ざり合って
屆かなかったものに縋る想いも
きっとやっと消えてくれるだろう。
いつも
『生きる』だ『死ぬ』だ馬鹿みたいだ。
けどなんとか『生きる』を選んでは
生きる事が當たり前の人間になりたい
と哭き続けた日々だ。
そしてあなたの聲が響く
あの歌はあなたのものになって
いつか書いた〈いいよ。〉って文字は
あなたの聲に変わって
生きる事を赦された気がした。
だからこそ
さよならにうってつけの日だった。
わかってるんだよ、
さよならなんて言えないこと。
歳を重ねるほど
好きなものを好きと言えなくなって
さよならの理由を探しては
また離れられないまま
一番肯定されて否定された四分を過ごした。
我儘で弱いままのこんな僕だけど
さよならの理由はもう探さないから
傍にいて。
うまく大人になれなくても
生きてても死んでも同じでも
あなたが歌ってくれてたから
『生きる』を選んでこれたんだね。
今年はどんな歌を贈ろう?
哀しいままの歌にはしないよ。
最後の何行かくらいだけは
次の一巡りへ贈るよ。
あなたが生まれた今日の日に
また沢山の歌が生まれる。
忘れないで
獨りじゃない事、
あなたが誰かを救った事。
いつか離れる日が來たって
その先であなたが歌えるように
もう少しだけ歌をつくるよ、
そしてまた會いに行くよ。
サイカイにうってつけのミライへ。