能く在る輪廻と貓の噺歌詞

添加日期:2023-12-14 時長:03分58秒 歌手:骨盤P

華やかな大通りの
棄てられた蝙蝠傘の下
草臥れた尻尾上げて
毛繕う黒貓在りました
「ちょいと道往く其処の御嬢さん
御出で此処らで一つ話ましょう
貓は雲う
「今日の噺は
そうだ昔に路端で聞いた
愉快な悲戀など」
「昔交わらざる身の上の淡い
戀に溺れた烏と兎が居ました
「葉わない夢なのでしょう?
オキノドクサマ」
「いいえ、冷たい旅路の果てに
二匹身體を捨てて結ばれたのです」
「なんだか可笑しな噺ね」
薄芽吹く街路樹を
眺め見るハイカラ服の橫
草臥れた尻尾振って
手を招く黒貓在りました
「此れは何時かの可愛い御嬢さん
今日はも一つ噺聴かせましょう」
貓は雲う
「そうだな今日は、ええと
嫉妬の炎に舞った
醜い蝶の噺」
「そして番を離れた揚羽は曾て
愛した雄を喰い荒らしました」
「どうやら有り觸れた寓話のようね
オアイニクサマ」
「いいえ、痛快なる喜劇には
慘たらしい落ちが付き物なのです」
「なんだか報われない噺ね」
「やあや、またまた逢った。御嬢さん、
今日は最後に一つ聴かせましょう」
貓は問う、嗄れた聲で
「御存知だろうか百回生きた
お喋り貓の噺」
「時に歓天喜地の夜も
又は老少不定、異域之鬼の代も
「成程話題には欠かないようね」
ゴシュウショウサマ」
振り返る先に貓は無く
街の風に揺れる雨傘カラカラ
「なんだか不可思議な噺ね、嗚呼」
娘は哂う「今宵は雨かしら」
-END-
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